前回の記事では DovecotがPostfixとどのように動作するかを見てきました。
今回はDovecotがどのように設定され、設定ファイルがどのような構造になっているのかを確認しましょう。
🎯 今回の記事の主な内容
- Dovecotの設定ファイルがどのような構造になっているか
- メイン設定ファイル
dovecot.confと詳細設定ファイルの役割 - なぜ設定を複数のファイルに分けたか(構造的な理由)
!includeを活用した設定ファイルの読み込みの原理- 設定ファイルの適用順序と優先順位(これが非常に重要です!)
📌 Dovecot設定ファイル構造
Dovecotの設定ファイルは /etc/dovecot/ ディレクトリの下に位置し、次のような構造を持っています。
/etc/dovecot/
│── dovecot.conf # Dovecotのメイン設定ファイル
│── conf.d/ # 詳細設定ファイルが集まるディレクトリ
│ ├── 10-auth.conf # ユーザー認証関連の設定
│ ├── 10-mail.conf # メールストレージ設定
│ ├── 10-master.conf # サービスプロセスおよびポート関連設定
│ ├── 10-ssl.conf # SSL/TLS関連の設定
│── dovecot-sql.conf.ext # SQL連携のための設定
Dovecot設定ファイル構造の概要

🔹 dovecot.conf (メイン設定ファイル)
dovecot.confはDovecotのメイン設定ファイルであり、全体の設定を管理します。
ここで個別の設定ファイルを!include文法を使用して読み込みます。
# /etc/dovecot/dovecot.conf
disable_plaintext_auth = yes
ssl = required
# 個別設定ファイルの読み込み
!include conf.d/*.conf
!include conf.d/*.confはconf.d/ディレクトリ内のすべての.confファイルを順番に読み込みます。
🔹 conf.d/ ディレクトリ (詳細設定ファイル)
Dovecotの詳細設定ファイルは機能ごとに分かれており、論理的に整理されているため、メンテナンスが容易です。
📌 必須の設定ファイル
| ファイル名 | 説明 |
|---|---|
10-auth.conf |
ユーザー認証(Authentication)関連の設定 |
10-mail.conf |
メールボックスのパスおよびメールストレージ設定 |
10-master.conf |
Dovecotが実行するサービスプロセスの設定 (IMAP, POP3, LMTPなど) |
10-ssl.conf |
TLS/SSL暗号化設定 |
🔹 設定ファイルが適用される原理 (!include文法)
dovecot.confで個別の設定ファイルを読み込むときに、!includeを使用して設定が適用されます。
# /etc/dovecot/dovecot.conf
!include conf.d/*.conf
設定ファイルの読み込み順序が重要な理由
conf.d/内の設定ファイルは数字順に実行されます。- つまり、
10-ssl.confで設定した内容を99-custom.confで上書きすることができます。 - 優先順位を考慮して設定ファイルを整理することが重要です。
🚀 次回の予告
今回はDovecotの設定ファイル構造と適用方法を見てきました。
しかし、設定ファイルが多すぎて一度にすべてを理解しようとすると難しく感じるかもしれません。
次回は Dovecotを運営するのに必須な核心設定ファイルに焦点を当てる予定です。
📌 次回取り上げる核心設定ファイル
10-auth.conf→ ユーザー認証(Authentication)関連の設定10-mail.conf→ メールボックスのパスおよびメールストレージ設定10-master.conf→ Dovecotが実行するサービスプロセスの設定 (IMAP, POP3, LMTPなど)10-ssl.conf→ TLS/SSL暗号化設定
これらの設定を正確に理解するだけでもメールサーバーを運用するのに問題はありません。
残りの設定ファイルは追加機能の調整のために使用されるので、運用を始めた後に徐々に学ぶ方が効率的です。
次回はこの4つの必須設定ファイルを一つずつ分析し、設定が実際にどのように適用されるのかを見ていきます。
それでは、次の記事でお会いしましょう! 🚀😊
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