Linuxシステムを使用していると「デーモン(Daemon)」と「systemdユニット(Unit)」という用語をよく目にする。これらの二つの概念はどちらもLinuxオペレーティングシステムで重要な役割を果たすが、その意味や機能は異なる。本記事では初心者にも分かりやすくデーモンとsystemdユニットの概念、違い、そして種類について解説する。

1. デーモン(Daemon)とは?

デーモンはバックグラウンドで実行されるプログラムである。ユーザーが直接実行しなくても自動的に起動し、システムの特定の機能を実行し、主にウェブサーバー、データベース、ネットワーク管理などの役割を持つ。デーモンはユーザーと直接相互作用せず、システムがブートする際に実行され、継続的に動作する。

デーモンの主な特徴:

  • バックグラウンドで実行: デーモンはシステムが起動している間常に動作する。
  • 自動起動: 大多数のデーモンはシステムがブートする際に自動的に起動する。
  • 名前規則: 一般的にデーモンの名前は「d」で終わる。例えば、sshdはSSHサービスを提供するデーモンであり、httpdはウェブサーバー用のデーモンである。

2. systemdユニット(Unit)とは?

systemdは現代Linuxにおいてシステムとサービスを管理するために使用されるサービスマネージャーである。systemdはシステムのブートからサービスの開始、終了などのさまざまな作業を処理するが、これを効率よく管理するためにユニット(Unit)という概念を使用する。ユニットはシステムの特定の要素を管理する構成単位であり、デーモンのみならず、タイマー、マウントポイント、ソケットなども含まれる。

ユニットの主な種類:

  • サービスユニット(.service): デーモンのようなバックグラウンドサービスを管理する。
  • タイマーユニット(.timer): 特定の時間や周期に合わせて作業を実行する。
  • マウントユニット(.mount): ファイルシステムのマウントを管理する。
  • ソケットユニット(.socket): ネットワークソケットを管理し、必要に応じてサービスを開始する。
  • ターゲットユニット(.target): 複数のユニットをグループ化してシステムの特定の状態を定義する。

3. デーモンとsystemdユニットの違い

  • デーモン: 単にバックグラウンドで実行されるプログラムであり、システムサービスの一種である。主に持続的に特定の作業を処理する。
  • systemdユニット: システムのさまざまな要素(サービス、タイマー、マウントなど)を管理する構成単位である。デーモンはsystemdユニットの一つに過ぎず、すべてのユニットがデーモンであるわけではない。

systemdはデーモンを含むさまざまなユニットを制御でき、デーモンはシステムの複数の機能をバックグラウンドで処理する役割を持つ。しかしsystemdはデーモンだけでなく、タイマーやマウントポイントなど、システムのさまざまな重要な要素を管理する強力なツールである。

4. 例で見るデーモンとsystemdユニット

  • sshd.service: SSHデーモンを管理するサービスユニットで、ユーザーがリモートで接続できるようにバックグラウンドでSSHサービスを提供する。
  • cron.service: cronデーモンは定期的な作業を予約して実行するプログラムであり、やはりsystemdによって管理されるサービスユニットである。
  • tmp.mount: /tmpディレクトリをマウントするマウントユニットで、ファイルシステムを管理しデーモンではないがシステムで重要な役割を果たす。

5. まとめ

デーモンはバックグラウンドで実行されるプログラムで、システムサービスの一形態である。一方、systemdユニットはシステムのさまざまな要素を管理するための構成単位で、デーモンを含むがデーモンだけを意味するわけではない。systemdはデーモンのみならず、タイマー、マウント、ソケットなどシステムのさまざまな機能を管理するツールである。

Linuxを初めて触れるユーザーはデーモンとユニットの概念を混同することがあるが、簡単にまとめると:

  • デーモンはバックグラウンドで実行されるプログラムであり、
  • systemdユニットはシステムのさまざまな要素を制御する構成単位である。

systemdはデーモンを含むさまざまなシステム要素を管理することでLinuxシステムが効率的に動作するようにする。


次の記事予告: 次回の記事ではsystemdユニットを操作するコマンドであるsystemctlについて取り扱う。systemctlを使用してユニットの開始と停止の方法から、活性化と非活性化の方法まで整理する予定である。